コンタクトレンズ

定期検査

定期検査の重要性

検査の目的で最も重要なことは病気の予防です。コンタクトレンズが原因の病気は軽いものを含めると年間100万件以上起きていると推定されており、調査によると、病気になる方の約半分が定期検査を受けていないといわれております。

症状がない場合もあり、たまたま定期検査やレンズの処方の検査で病気が見つかることも少なくないと思います。どのような病気もそうですが、早期発見、早期治療が大切です。


定期検査の内容

1. 問診

まずは、問診です。痛みやかゆみなどの症状がないかを聞きます。症状として
「見にくい、痛み、かゆみ、ゴロゴロ感(異物感)、乾き、しみる」など

またコンタクトレンズの症状で特徴的なものとして
「圧迫感、レンズがずれる、レンズが張り付く、レンズを外すとかゆみが起こる」などがあります。

症状を聞くことによって、おおまかに目やレンズの状態がわかります。例えば、見にくい場合は、度数の問題や乱視の影響、レンズの汚れの問題などのレンズに関するものと、視力低下をひき起こす病気(角膜炎など)との両方を念頭に置き、次の検査を行います。また、かゆい場合は、アレルギー性結膜炎の可能性が高く、レンズのずれや圧迫感、張り付く感じなどは、レンズの形(ベースカーブなど)と目の形が合っていない可能性が疑われます。


2. 検査

コンタクトレンズが原因の黒目の傷です


視力検査で視力に問題がないかを確認します。通常1.0以上の視力が確認できれば大きな異常が潜んでいる可能性が低くなります。

目が必要としている屈折度数をオートレフラクトメーターという器械で計測します。気球を眺めるだけで、器械が自動的に計測します。場合によっては、眼圧といって緑内障にかかわる検査をすることもあります。当院では原則40歳以上の緑内障の好発年齢の方には検査を行っております。

診察では、前眼部といって、目の表面を顕微鏡で確認します。調べる場所は、角膜(黒目)、結膜(白目)、まぶた、涙の状態、また場合によっては目の中やその他の部分(前房、虹彩、網膜、視神経乳頭、硝子体、前房、前房)も確認します。まぶたの裏側に睫毛(まつ毛)やゴミが入っている場合は、取り除きます。
角膜は、角膜炎といって傷が出ていないかを確認します。傷が出ていた場合も、何が原因なのかを調べ、ドライアイなのか、レンズの汚れなのか、レンズが合っていないのか、あるいはそれ以外なのかを判断します。
結膜は、炎症が起きていないかを確認します。アレルギー性結膜炎といって、レンズの刺激やレンズの汚れによって起こる炎症が良く見られます。炎症がある場合は、角膜炎と同様に原因を探り、レンズの変更や、点眼治療を行います。
まぶたは、麦粒腫や霰粒腫というできものや、睫毛(まつ毛)の状態を確認します。
涙の状態は、まぶたと角膜の間にたまっている量と、涙を染めた時の蒸発の具合で調べることができます。涙の状態が悪いと乾きがでたり、角膜炎の原因になります。また、レンズも汚れやすくなります。

また、レンズをのせてレンズの動きや安定を調べることもあります。


3. レンズの状態のチェック

拡大すると傷が見つかりました

肉眼ではわかりにくいです

使用したレンズの状態を確認するのも重要な目的です。長く使うタイプのレンズならば、使い始めてからの期間によって、汚れや傷の程度が平均レベルかどうかを調べます。汚れは、クリーナーで落とせるものもありますので、院内でクリーニングすることもあります。また、汚れ具合や汚れの性状から、何が原因でどのようにすれば汚れを防げるかのアドバイスが可能な場合もあり、レンズから多くの情報を得ることができます。もちろん、レンズの破損や傷の程度も顕微鏡で確認しますので、問題がある場合は作成について相談します。


4. 普段の問題点についての相談

普段の問題点を聞くのも定期検査の目的の一つです。
レンズの洗浄に問題がないか、あるいは装用に問題がないか、幅広い範囲で相談をお受けします。例えば、レンズの使う頻度が増えてきたので1日使い捨てレンズだとお金がかかるのでどうしたらよいでしょう?、また、ある洗浄液に変えたとたんにゴロゴロ感がでてきた、なぜでしょう?事務仕事が増えて乾きを感じるようになりました。乾きに強いレンズはありますか?、コンタクトレンズをする時間が長くなってきたので目に負担が小さいレンズに変えたいのですが・・・。などなど、定期検査を普段の問題点を解決する場にしていただくことができます。

問題は、すぐに解決するものもあれば、試行錯誤の末に解決できるものもあります。あるいは、コンタクトレンズを止めなければならない場合もあります。患者さん一人一人にとってベストの解決策は違いますし、一つではありません。難題に対しては、ゆっくり時間をかけて患者さんに状態を理解してもらい、方法を十分相談しながら、一緒に解決していくのが私のスタンスです。

当院では、年間のべ15000人以上のコンタクトレンズ装用者の診療を行っております。問題点やトラブル、患者さんの感想、個々のレンズの特徴や使用感など、日々多くの情報を蓄積しております。どのようなことでも質問や相談をお受けしますし、来院できない場合は、お電話で相談していただいても可能な限り返答させてもらいます。もちろん当院に受診したことがなくても遠慮なくお電話ください。