2010年09月21日No.49 緑内障について その2 検査
今回の小話では緑内障の検査についてご紹介しようと思います。
緑内障の検査として重要な、眼圧検査、眼底検査、視野検査の3つについて詳しく説明して行こうと思います。
眼圧検査
空気を当てて眼圧を測る機械です
最も大切な検査です。そもそも眼圧(がんあつ)とは何かといいますと、ボールを眼球とイメージしていただいて、空気がちょうどよく入っている状態が正常眼圧です。空気を入れすぎてパンパン(限界まで入れるとカチカチ→急性緑内障発作)になっている状態が眼圧が高い状態と考えていただくとわかりやすいと思います。眼圧が高い状態は、圧に弱い神経に悪い影響を与えてしまいます。
眼圧の検査は、目の表面に空気を当てて測る方法と小さな器具を当てて測る方法があります。空気の検査は、特に目薬などの処置がいらず、一瞬で値がわかりますのでとても簡便ですし、目にまったく触れないので衛生的に検査ができます。器具を当てる検査は、麻酔の目薬が必要ですが、一般的に空気の検査よりも正確な値が得られる利点があるといわれております。
日本人の平均眼圧は14.5という値で、一般には21よりも大きくなると、眼圧が高いと判断します。眼圧が低い分には、極端に低い場合を除いてあまり問題にはなりません。
眼圧は、季節や時間帯によって変動しますので、何度か測ることが大切です。一般には朝方に高いことが多く、また、夏に低く冬に高いことが知られています。大切なことは、眼圧が高くても緑内障ではないこと(高眼圧症:眼圧は高いが視野や視神経などに異常がない状態)がありますし、逆に正常眼圧でも緑内障の場合(正常眼圧緑内障)もありますので、最も重要な検査ですが、これだけでは緑内障の有無は判断できません。
目の状態や治療の状態を知るのにはわかりやすい視標ですので、受診した際には医師に値を聞いてみると良いと思います。
眼底検査
目の内側を見る検査です。視神経という目の神経の状態を観察します。まず視神経乳頭と呼ばれる、神経が集まっている部分の状態を観察します。視神経の障害が強くなると、へこみ(陥凹:かんおう)が広がります。
下のドーナツの写真は正常の視神経乳頭と緑内障の視神経乳頭のイメージです。ドーナツの食べる部分に、目から脳へとつなぐ神経が密集しているとすると、緑内障になり内側からの圧で食べる部分がやせ細り、神経がその部分で障害されて切れてしまうイメージをすると良いと思います。神経が切れるということは、その部分で情報が途絶えてしまいますので、目で光を感じても途中で断線していますので、脳まで情報が行かず、結果として部分部分が見えないということになります。私たちは目で物を見ていますが、脳で感じていますので、その途中に障害があれば、正常にはみることができなくなります。
目で感じた光の情報は視神経乳頭を通り脳へ向かいます。視神経乳頭が障害されると脳へ情報が到達せず、「見えない」ということになります。
正常な視神経乳頭です。中央の「へこみ」は狭く神経の厚みは十分あります。
緑内障の視神経乳頭です。中央の白い「へこみ」の部分が広がり、神経の厚みがとても薄いのがわかります。
正常な視神経乳頭のイメージです。
緑内障の視神経乳頭のイメージです。
視神経乳頭の変化は視野の異常よりも先に現れますので、緑内障の早期発見にはとても大切な検査です。また、眼圧が正常な正常眼圧緑内障は、この検査で発見されることがほとんどで、コンタクトレンズ作成希望で受診された方がたまたま検査で見つかることも少なからずあります。
当院では、コンタクトレンズ作成希望で初めて受診したすべて方に対して、視神経乳頭の確認と眼圧検査を行っております(時々質問を受けますが、コンタクトレンズ作成時の検査料は一律ですので、検査をしてもしなくても同額となっており、診察代が高くなることはありません)。
視野検査
実際の障害を調べる検査です。視野とは見える範囲のことで、個人差がありますが、片目で約160度、両目で200度位といわれております。両目で重なり合う部分が多いので、なかなか異常に気付きにくいです。
緑内障による視野異常の進行パターンは、ある程度一定しておりますので、検査により病気の進行具合を調べることができます。具体的な検査は、光が見えた場合にボタンを押す検査で、見えていないところがないか、どの程度の光で感じられるかを細かく調べていきます。およそ片眼7分程度かかりますので、検査は時間に余裕のある時に行うと良いと思います。
検査の結果は色の濃淡で表されます。白いところがよく見えているところで、黒くなるにつれて見えなくなってることがわかります。
正常な左目の視野です。中心よりやや耳側に見えない点があります。これはマリオット盲点と呼ばれるもので、見えなくても正常です。
中心に近い部分の視野が最初に障害されます。上の場合と下の場合があり、下の方が気がつきやすいです。
この程度の視野欠損だと、気がつかないことが多いです。初期の段階です。
鼻側に見えない部分が広がっています。鼻側の視野は反対の目で補うため異常がわかりにくいです。
中心部と部分的な視野を残して、それ以外は障害されております。末期の状態です。
その他、視力検査や隅角検査などを必要に応じて行い、総合的に判断していきます。
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