院長の小話

2010年10月21日No.50 緑内障について その3 治療

今回の小話では、緑内障の治療についてお伝えしようと思います。

緑内障の特徴として、進行性(悪くなっていく)で非可逆的(良くなることはない)なことがあげられますので、少しでも進行にブレーキをかけて、現状維持を目指すのが目標です。残念ながら、一度障害された視野を元に戻す薬や治療は、今のところありません。だからこそ、早期発見、早期治療が重要なのはお伝えしたとおりです。

患者さんの大多数を占める慢性の緑内障の治療として、まずは眼圧を低くコントロールすることが有効とされています。方法として、点眼などの薬物治療、レーザー治療と手術が一般的です。

経過観察

治療に混ぜるか迷うところですが、緑内障になりそうな方というのは存在します。例えば、眼圧は正常で視野検査でも異常はありませんが、視神経に軽い緑内障性の変形が見られる40歳以上の方。あるいは血縁者に緑内障の方がいる場合や、正常の眼圧でも10台の後半で若干高めの方など。年齢や検査の結果を総合して判断しますが、このような方々にとって、経過観察はとても大切だと思います。状態によりますが、3ヶ月から1年に一度程度、眼科で検査をすることが早期発見のためには大切です。もちろん、予想がはずれ緑内障にならないかもしれません。でも、それはご本人にとっては良いことです。

薬物治療

眼圧を下げる薬は、主に房水の産生量を減らす薬や、房水の排出をよくする薬です。大きく分けて5種類の緑内障治療薬があり、緑内障のタイプ、眼圧の高さ、視野異常の程度にあわせて処方されます。まずは点眼からはじめますが、最初は1種類の薬で様子をみて、途中で変更したり、2-3種類を併用することもあります。

キサラタン点眼液

チモプトール0.5%点眼液


レーザー治療と手術治療

急性緑内障の場合や、薬物治療での眼圧コントロールが不十分な場合にはレーザー治療や手術治療が行われます。レーザー治療は、虹彩という場所に穴を開けて房水の流れを変える方法と、線維柱帯という部分にあてて、房水の流出を高める方法などがあります。比較的安全で、外来でできますので入院の必要がありません(当院には設備がなく、できません)。

手術は、房水の流れを妨げている部分を切開し、房水の流出経路を新たに作る手術です。眼圧を下げる効果は大きいですが、入院治療が必要で、手術をしている施設が限られております。

正常な房水の流れです

レーザーで虹彩に穴を開けて房水の新しい流れを作り眼圧の下降を期待します。

線維柱帯切除術と呼ばれる手術です。房水を結膜下へ導き眼圧を下げます。

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