院長の小話

2011年11月20日no.63 結膜炎について(その2)「結膜炎の症状と治療」

結膜炎の症状

 最も典型的な症状は充血です。充血は結膜の血管が拡張して赤く見えます。充血は結膜炎以外の病気でも起こります。たとえば、角膜炎(黒目の傷)や虹彩毛様体炎(目の前の方の炎症)、重篤な病気としては急性緑内障発作などです。したがって、充血があるからといって即結膜炎と決めつけてしまってはいけません。

null

 また、赤く見えるからといってすべて充血とは限らず、結膜下出血といって結膜内に出血して血がひろがることがあります。充血とは異なり、血管による網目状ではなく、「ベタッ」とした赤になるのが特徴です。写真のように真っ赤な部分は出血でそれ以外の部分が充血ですが両者は似て非なるものです。

 次に眼脂(がんし、めやに)といわれる分泌物が増えるのもよくみられる症状です。結膜炎になっていなくても、少量の分泌物が出ることはありますが、結膜炎の場合は、ひどいとまぶたがくっつき目が開けられなくなります。さらさらの白っぽい眼脂とベトベトの黄色っぽい眼脂に大きく分かれ、前者はアレルギー性結膜炎やウイルス感染が疑われ、後者は細菌性の感染が疑われます。
 まぶたの腫れも症状の一つです。違和感があり掻いてしまって腫れることもあります。
 結膜浮腫といって、白目が水ぶくれのようになることもあります。この場合はアレルギーによる炎症が疑われます。
 他に痛みやかゆみ、涙が自然に出てくる流涙、常にゴロゴロしてものが入っている感じがある異物感なども症状として考えられます。

結膜炎の治療

原因により治療法が異なります。

1.細菌性結膜炎の場合

 抗生物質の点眼や眼軟膏がメインになります。本来なら原因となる病原体(起炎菌)を確定(同定)して、その病原体に最も効果のある抗生物質を選択するのが理想的ですが、一般的にはそれから治療を開始するのでは遅い場合が多いので、ある程度起炎菌を想定して、守備範囲の広い抗菌点眼薬を使うことが多いです。

null

 よく使われる薬剤として、クラビット、タリビット、ガチフロ、オフロキサシン、ベガモックス、トブラシンなどがあります。


2.ウイルス性結膜炎の場合

 ヘルペスなどの抗ウイルス薬があるものには抗ウイルス薬(ゾビラックス眼軟膏)などを使います。しかし、アデノウイルス感染症のように抗ウイルス薬がないものは、ウイルスによる抗体が作られて自然に治癒するのを待ちます。しかしながら、症状が強く出たり、角膜混濁などの後遺症を予防する目的でステロイドの点眼と感染予防のために抗生物質の点眼を、一般的には行うことが多いです。

3.アレルギー性結膜炎の場合
null

 抗アレルギー薬の点眼とステロイドの点眼が使われます。抗アレルギー薬には大きくわけて2種類の分類があり、インタールやアレギサール、リザベンのグループ(化学伝達物質遊離抑制薬)とザジテンやリボスチンのグループ(化学伝達物質受容体拮抗薬)があります。詳しい説明は、小話69のアレルギー性結膜炎(その2)のところで行おうと思います。花粉症などで鼻炎を伴うときは抗アレルギー薬の内服を併用することもあります。
 薬の治療以外では、原因となるアレルゲンから離れることが大切です。コンタクトレンズもアレルギー性結膜炎の原因になりますので、症状が強いときは、装用を中止すると良いでしょう。

 次回の小話から、代表的な3つの結膜炎である、細菌性結膜炎、はやり目(ウイルス性結膜炎)、アレルギー性結膜炎を詳しく説明しようと思います。

Category :
院長の小話