2013年07月20日no.83 アレルギー性結膜炎について(その4)
3回にわたって、アレルギー性結膜炎についてご紹介しました。最終回は、具体的な治療についてです。その前にアレルギーに対して最も大切な治療をお伝えします。それは、アレルゲン(原因物質)から離れることだと思います。取り除けるのであれば、原因を取り除くことが大切で最も手っ取り早いのは言うまでもありません。例えば、コンタクトレンズが原因の場合は、コンタクトレンズを中止するのが一番効果があります。また、コンタクトレンズの汚れが原因の場合は、汚れの付きにくい1日使い捨てタイプのレンズにすることも有効と考えられます。しかしながら、花粉症の花粉や、家のほこりなどのように、逃れることがとても難しいものも、少なくありません。そのような時は、症状を抑えるために、薬に頼ることになります。
アレルギー性結膜炎の点眼治療は、大きく分けて2種類に分かれます。
1.抗アレルギー薬
アレルギー性結膜炎の治療には、抗アレルギー薬の点眼薬が良く使われます。後述するステロイドのような問題となる重大な副作用がなく、比較的長期間、安全に使用できる利点があります。抗アレルギー薬は、一度以前の小話で紹介したように、さらに2種類に分かれます。インタールなどを代表とする、かゆみなどを引き起こす化学物質であるヒスタミンの放出(遊離)を抑えるタイプの薬です。効果が出るまでに時間がかかる欠点があります。もう一つはリボスチンやザジテンなどのヒスタミンが受容体に結合するのを邪魔するタイプの薬です。ヒスタミンの作用を直接ブロックしますので、かゆみなどの症状を抑えるのに有効です。また、効果が比較的早く出るため、、すぐに症状を抑えたい場合に有効です。
点眼以外にも内服薬もありますが、厳密にはアレルギー性結膜炎の治療として保険適用されていないため、アレルギー性鼻炎などが併発した場合に処方できます。効果には個人差がありますが、目のかゆみなどの症状には点眼薬の効果の方が大きい印象です。
2.ステロイド点眼
ステロイドは、過剰な免疫反応を抑制して、不快な症状を抑える効果が期待できます。そもそも「かゆみ」はひどくなると生活に支障が出る困りものですが、視点を変えると、それによってアレルギーが起きていることを知ることができる良い作用があります。もし、それによって自分にとって特に苦手なものがわかれば、その原因から離れることができるかもしれません。また、充血も目が赤くなり、これもまた人から指摘されたりしてたいへん厄介ですが、血の流れを良くすることで、目を外敵や異物から守り感染を防ぐのが本来の目的です。つまり、私たちにとって不快な症状は、実は体を守るためにはとても大切な作用なのです。ステロイドの作用として、この働きに強制的にブレーキをかけます。それによって本来期待される、感染を防ぐ働きなどにもブレーキがかかりますので、副作用に注意しなければいけないということになります。
また、体質によってはステロイドで眼圧が上がる人がいます。ステロイド緑内障といって、知らない間に目の圧が上がり、さらに長期にわたると、視野欠損といって見えない部分が出てくることがあります。この副作用は、自分で気がつくことがほぼできません。眼科を受診して診察や検査を受けて初めて見つけられるものですので、人からもらった薬を自己判断で使ったり、診察をまったく受けずに医師の管理がないなかで長期にわたって使用するのはたいへん危険です。
しかしながら、ステロイドは正しい使い方をすると、たいへん有効な薬で、症状が軽快して喜ばれることも多いです。
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