院長の小話

2014年10月20日no.97 おすすめのコンタクトレンズは?(3)

 「どのレンズが一番良いのですか」と診察中に聞かれることが多いことからコンタクトレンズ選びに役立つような情報をお伝えしており、今回は3回目になります。私の独断と偏見が少し入っている点は、ご了承ください。

目の負担が小さいレンズは?

 目の負担というのは、そもそも目にどのような負担がかかるのか、というところから考えなければいけません。たとえば、コンタクトレンズをすると、目が乾くことは良くありますが、これも負担の一つです。レンズやレンズの汚れによりアレルギー疾患が出やすくなるのも負担に含まれるでしょう。しかしながら、一般的には、目の負担というと、角膜をコンタクトレンズが覆うことにより、角膜が酸素を取り入れにくくなる点を指すことが多いです。角膜も細胞ですので酸素が必要です。角膜に接している空気や涙に溶けている酸素を取り込んでおりますが、コンタクトレンズをすると、レンズを介して酸素の移動が起こるため、レンズの酸素に対する透過性が問題になります。すなわち、酸素透過性が高いレンズが角膜にとって多くの酸素を与えることができ、目の負担が小さいレンズといえます。

 では、酸素を多く通すレンズはといえば、まずはO2のハードレンズです。ハードレンズの材質は酸素をとても通しやすく作られております。また、レンズが角膜よりも小さいため、角膜を覆う部分は一部に限られます。さらに、レンズは常に上下に動いておりますので、覆う部分は少なくなります。

 ソフトレンズは、やわらかさを出すために、レンズには水分が含まれております。酸素の通しやすさはその水分に依存するため、ハードレンズに比べて酸素を通しにくくなっていました。しかし、ここ数年はシリコンハイドロゲルレンズ(シリコンレンズ)が登場し、ソフトレンズでも酸素を通す力が格段に上がり、目の負担が小さなレンズになったといえると思います。最近の処方の傾向としては、ソフトレンズは、半分以上の方がシリコンレンズを選択しており、目に対する意識の高さを感じます。シリコンレンズは、従来のレンズよりも乾きにくい利点もあり、シリコンレンズを選ぶ別の理由にもなっております。以前は、従来のレンズよりも価格がかなり高かったのですが、現在はほとんど差がなく、変更をお勧めすることも多いです。ちなみに私は、シリコンレンズのワンデータイプを愛用しております。

 コンタクトレンズは数十年という長い期間を使うことになる方も少なくありません。少しでも目の負担が小さいレンズを選ぶことは、とても大切なことだと思います。

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