2007年09月25日No.13 ネコ・ヒト・ウマの瞳孔の話(その1)

黒目をよく見ると、中に茶色いドーナツ状のものが見えます。これは虹彩(こうさい)と呼ばれるもので、そのドーナツの内側の穴が瞳孔(どうこう)です。虹彩の中には筋肉があり、この瞳孔の大きさを変えることで眼の内側に入る光の量を調節しております。
瞳孔の形はヒトも含め丸型がもっとも多いですが、実は、ネコやワニ、ヘビなどの夜行性の動物は縦長、ウマやヤギ、ヒツジなどの草食動物は横長です。
ネコの眼と瞳孔


突然ですが、キャッツアイという宝石を知っていますか?
猫目石(クリソベリルキャッツアイ)をさしますが、正しくはキャッツアイというのは、宝石の表面に猫の眼(瞳孔)のような縦に明るい光の筋が現れることを言います(別名シャトヤンシー効果)。
夜行性のネコは夜の暗闇の中で、ネズミなどを捕食しなければいけません。暗いところでは、ネコの瞳孔は大きなまんまるになっております。少しでも多くの光を取り入れるためです。


一方晴れた昼などの明るい場所では光が多すぎますので、瞳孔を縦長に細くして、取り入れる光の量を調節しているのです。また、まぶしさを防ぐとともに、ピントの合う範囲を広げたり(被写界深度を深める:次の小話で説明します)、ボケやゆがみを少なくすることができます(収差を抑える)。
また、ネコはヒトにはない「タペタム (Tapetum lucidum)」という反射板を持っています。眼の中の網膜という光を感じる膜のさらに外側にあり、網膜を通りすぎた光をもう一度網膜に送り返します。
これによって、ネコは、わずかな光を反射板によって二度利用できるので暗いところでも物がよく見えるしくみになっています。
ネコ以外の動物にもタペタムはあります。夜の山道で道路に出てきている鹿の眼が不気味に光っているのはヘッドライトがタペタムに反射しているからです。
ちなみに写真のフラッシュでヒトの眼も赤く光る場合がありますが、これは網膜が毛細血管でびっしりと覆われているからでタペタムの反射ではないです。
つづく
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