院長の小話

2008年12月21日No.28 白内障と緑内障:その3 緑内障について



正常な視神経乳頭のイメージ


緑内障の視神経乳頭のイメージ

今年最後の小話は、前々回からの続きで、今回は緑内障についてです。

緑内障を短く説明すると、「主に目の圧が上がることで視神経(ししんけい)がいたんで見えない場所が出てくる病気」だと思います。

前回の白内障同様、分解して説明すると、「目の圧」というのは眼圧(がんあつ)と呼ばれるもので、目もタイヤやボールのように圧があるのでつぶれません。眼圧が高い状態というのは、タイヤやボールに空気を入れすぎてパンパン(かちかち)になった状態をイメージしてもらうとわかりやすいと思います。

しかし、ここで最初に「主に」とつけているのは、昔は「緑内障=眼圧が高い」でしたが、最近は眼圧が正常でも緑内障があることがわかってきており、その割合が実はとても多いということがわかってきています。眼圧は正常なので「正常眼圧緑内障」と呼ばれており、とても注意が必要です。

次に、「視神経がいたんで」とは、目の中には視神経乳頭と呼ばれる神経の束があります。ドーナツのように見え、中心がへこんでおり(陥凹:かんおう)、ドーナツの食べる部分に神経が走っているとイメージしてもらうとわかりやすいです。

高い圧を受け続けるとへこみ(ドーナツの穴)が大きくなります。その分、ドーナツの食べる部分が薄くなり、それはすなわち神経の走る場所がなくなり、結果として神経がいたみます。神経がいたむということは、目から脳への信号を送れなくなりますので、目で何かを見ても頭にはその情報が伝わらなくなり、「見えない」場所が出てくるという流れです。少し複雑ですね。

緑内障の視野検査の結果

「見えない場所」があることは、なかなか自分では気がつくことができません。緑内障が見つかる方の多くは、健診や他の病気の検査の時に見つかることが多いと思います。それは、人間は両目でものを見ているのと、緑内障の変化はある日突然見えなくなるのではなく、少しずつ少しずつ変化していくからです。

見えている範囲を視野といいますが、視野計という機械を使って、どの部分がどの程度見えているのかあるいは見えていないのかを調べます。

緑内障は自覚症状(痛みやかゆみ、見にくさなど)があまりない、やっかいな病気ですので、眼科での検査が大切です。眼科では眼圧の測定、視神経乳頭の観察、視野検査が重要な検査になります。治療は、目薬で眼圧を下げたり、神経を保護したりします。目薬で眼圧が低下しなくなった場合、病気の悪化が止められない場合は、手術治療を行うこともあります。

また、急性緑内障発作という、急激に眼圧が上がるものもあり、この場合は目が充血したり、頭痛や見にくい状態になります。このタイプの緑内障は緊急的な治療が必要になります。

緑内障は悪化する前にできるだけ早期に発見し、治療することが大切です。健康診断などを積極的に利用し、少なくとも年に一度は眼科で定期検診を受けるとよいと思います。

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