院長の小話

2009年05月23日No.33 遠近両用コンタクトレンズについて

めがねに遠近両用があるようにコンタクトレンズにも遠近両用があります。

コンタクトレンズとめがねの違いとして、どちらもものを見るときに視線を移動させますが、コンタクトレンズはレンズ自体が動きますので、それ程視線を大きく動かさなくてもよいといわれております。さらに、後ほど説明しますが、同時視タイプのレンズだと、視線を移動させなくても遠くも近くもピントを合わせることができます。利点も多いですが、小さなレンズに複数の度数を入れることになりますので、見え方の鮮明感や明るさは通常のレンズよりも劣る可能性があるのと、レンズの価格が高い点が欠点です。あとは、めがねも同じですが、慣れが必要な点もあげられます。

通常のハードレンズ、長く使うソフトレンズ、2週間使い捨てレンズ、1日使い捨てレンズ、それぞれで遠近両用タイプのレンズがあります。通常のコンタクトレンズと同じで、どのタイプを選ぶかは、使う頻度などの使い方や目の状態、コストの問題で決めることになります。

さらに遠近両用レンズの特徴として「交替視型」と「同時視型」という分類があります。「交替視型」はめがねに近いレンズで、遠くを見る部分と近くを見る部分を分けて設計しております。一般的には真ん中は遠く用で周辺が近く用というタイプが多く、遠く用と近く用のレンズの間をなだらかに移行させる設計となっております。めがねと同じように近くを見るときはやや下目線にしますが、下を向くとまぶたの動きでレンズが少し上がります(ハードレンズ)。

めがねと大きく違う点は、「同時視型」といって遠くを見るときと近くを見るときの視線の移動が不要なものがある点です。レンズの中心部が遠用部、その周辺が近用部という設計になっており、常に遠くと近くが同時にピントが合っている状態になります。脳が選択したつまり、自分が見たいものが自然に見えてくるという不思議なレンズです。

当院でよく処方されるレンズを中心に説明していきます。

ハードレンズの遠近両用コンタクトレンズ

メニフォーカルZ:2重焦点(遠用部と近用部)と移行部で自然な視界を作り出すそうです。

メニフォーカルZ

メニコンZと同じ材質の遠近両用コンタクトレンズです。中央が遠用部、周辺は近用部で、間が移行部です。2重焦点レンズで、「交替視型」です。

ジョイフォーカルB

同時視と交替視の中間のようなタイプのレンズで、度数を少しずつ変化させて同心円状に配置した設計です。


ソフトレンズ(長く使うタイプ)の遠近両用コンタクトレンズ

メニフォーカルソフトS:レンズの光学中心を鼻側に寄せている特長があります。

マルチビューソフト

同時視タイプのレンズで、同心円状に遠用・中間用・近用の度数が切れ目なくならんでおり、遠くから近くまで自然な見え方が得られるといわれております。

メニフォーカルソフトS

メニコンソフトSと同じ材質のレンズです。レンズの中心が近用ですが鼻側にずらすことで、近くを見るときに目線が内側を向くことを利用して自然な見え方を期待しております。


2週間使い捨てソフトレンズの遠近両用コンタクトレンズ

2ウィークアキュビューバイフォーカル:独特のゾーン配置で境目のない自然な視界を期待しております。

メダリストマルチフォーカル

同時視タイプのレンズで、中間距離も重視し、話し相手の顔やパソコンの画面なども見やすくなるように設計されております。ホームページで見え方の体験ができます。
メダリストマルチフォーカル 見え方体験

2ウィークアキュビューバイフォーカル

同心円上に交互に遠用と近用の5つのゾーンを配置した特徴的な設計のレンズです。同時視型です。周囲の明るさで瞳孔の大きさが変わることにも配慮した設計です。


一日使い捨てのソフトレンズの遠近両用コンタクトレンズ

フォーカスデイリーズプログレッシブ

現在市販されているレンズの中で唯一の一日使い捨て遠近両用コンタクトレンズです。同時視型で中心が近用です。加入度数(近用と遠用度数の差)が一種類しかありませんが、一日使い捨てのメリットを生かした装用が可能です。

めがねにも言えますが、遠近両用は慣れが必要ですし、相性もあります。お試しをしながら微妙な調整を加えていくのが大切だと思います。院内でレンズを試すことができますし、使い捨てレンズはお渡しして使ってもらうことも可能です。お気軽にご相談ください。

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