院長の小話

2010年08月21日No.48 緑内障について その1 症状と分類

白内障を説明してきましたが(小話45、46、47)、次は緑内障について4回にわたり詳しく説明していこうと思います。

緑内障とは…

緑内障は、視神経が傷み、視野が狭くなっていく病気です。眼圧という目の圧力が、原因の中で最も重要なものといわれています。現在、日本の失明原因の第1位で、実はめずらしい病気ではありません。2000年に岐阜県の多治見市で40歳以上の方の病気の調査が行われました(多治見スタディ)。その結果、緑内障にかかっている人の割合は5%、実に20人に一人の方は緑内障である、ということがわかりました。また、その調査で初めて緑内障が見つかる方がとても多く、未だ治療を受けていない緑内障患者さんが多数いる可能性が高いこともわかりました。

緑内障の特徴として、神経の傷み具合や視野の障害は、基本的に進行性(悪くなっていく)で非可逆的(良くなることはない)なことがあげられます。また、症状がほとんどなく、眼科の検査ではじめて見つかることが少なくありません。大切なことは、まず病気を見つける早期発見と適切な治療によって「少しでも悪くしないこと」にあると思います。

緑内障の症状

一般的に緑内障の症状はほとんどありません。視野が狭くなっていく病気ですが、ある日突然、視野が狭くなるわけではなく、ゆっくりと長い時間をかけて少しずつ狭くなっていくので、とてもわかりにくいです。また、片眼に視野の変化があっても、両眼で見るとわからない場合もあります。


視神経の一部で、眼科の検査では直接観察して神経の傷み具合を調べることができます。

緑内障の中には急性緑内障発作といって、急激に眼圧が上昇し、目の痛みや充血、かすみ目、頭痛、吐き気などの激しい症状を起こすものもあります。このような状態は、非常に短い時間でも目に障害を残す危険性がありますので、緊急的な治療が必要です。


緑内障の分類

眼圧は房水がたえず作られることによって発生します。バランスが崩れると眼圧が高くなります。

急性緑内障発作


原発開放隅角緑内障

黒目(角膜)の内側には房水(ぼうすい)という液体が満たされています。この房水は、常時作られては吸収されてを繰り返すことにより、目の圧(眼圧)を保っています。房水の出口は線維柱帯と呼ばれるところで、この部分が目詰まりを起こし働きが悪くなると、眼圧が上がります。例えて言うなら、排水が悪い状態です。このタイプの緑内障はゆっくり進行していく慢性の病気です。

正常眼圧緑内障

緑内障は眼圧が高くなることが原因の一つですが、眼圧が高くならない(正常眼圧)の緑内障があることがわかってきました。全国的な調査では緑内障の約6割がこのタイプであることがわかっております。眼圧検査だけでは、正常眼圧緑内障を見落としますので、眼底検査も併せて行うことがとても重要です。

原発閉塞隅角緑内障

字のごとく、隅角という場所が狭くなり、房水の流れが悪くなり眼圧が上がるタイプの緑内障です。急に隅角がふさがると、一気に眼圧が上がり、急性緑内障発作になります。

続発緑内障

目の炎症や、目のケガ、薬の副作用など、他の理由で眼圧が上昇するタイプの緑内障です。

なぜ「緑」?

古代ギリシャのヒポクラテスが「目が地中海の海の色のように青くなり、やがて失明 状態になる」と記述しているところに由来しています。日本人の場合は緑内障になっても瞳が青く見えることはほとんどありません。

来月は緑内障の検査について書こうと思います。

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