目のトラブル・病気

充血・痛み・かゆみ

皆さんが訴える最も多い症状だと思います。それぞれについて説明します。

充 血

充血

充血の原因となる目の病気は非常に多いです。多少放置しても大丈夫なものから、 緊急の処置が必要になるものまでありますので注意が必要です。

白目が赤くなった時! 〜結膜充血と毛様充血と結膜下充血

結膜=白目

結膜=白目

まず区別しなければいけないのは充血と出血です。充血とは白目の血管が拡張する(太くなる)ことです。感染や炎症などで血液が多く必要な場合にみられます。出血は文字通り血が出ることです。結膜(白目)はとても血管が豊富です。とても細い血管もあり、目をぶつけたりして血管が切れると血が出て赤くなります。一般的には全体ではなく部分的に、色もはっきりとした赤になり、(表現が難しいですが)のっぺりと一様に赤くなります。

結膜下出血

特に治療は必要ありません。自然に出血が引くのを待ちます。ただし繰り返す場合は体の病気がないか調べる必要があります。

結膜充血・毛様充血

専門的には充血は結膜充血と毛様充血に分かれます。
簡単にいうと、黒目の周りだけ充血している状態が毛様充血、白目全体が充血している場合が結膜充血です。

結膜下出血

結膜充血

毛様充血

一緒に伴う症状による区別

めやに

最も一緒に起こることが多い症状だと思います。通常は白目(結膜)自体の炎症(結膜炎)ですが、原因の区別が必要です。花粉症やホコリ、コンタクトレンズなどの汚れに反応して起こるアレルギー性結膜炎、弱い細菌による感染で起こる急性結膜炎、ウイルス感染で起こる流行性角結膜炎などがあります。いずれも点眼薬で治療します。それらに加えて、まつ毛が黒目に触っている場合(睫毛内反)でも同様の症状が出ることがあります。

痛み

黒目(角膜)に傷がある場合などに多いです。強膜炎といって白目の膜の一部に炎症が起こっている場合も痛みが出ることがあります。めやにのところで紹介した流行性角結膜炎やまつ毛による睫毛内反では、めやにや涙が出やすいことが多いです。また、急に目の硬さが硬くなる緑内障の発作の場合もありますので、目が痛いときはすぐに眼科に受診してください。

見にくい(視力低下)

少しでも、見にくさがある場合は必ず眼科の受診が必要です。それも少しでも早くです。ほとんどが毛様充血の型をとり、黒目(角膜)の障害、目の硬さ(眼圧)上昇によるもの、目全体の炎症や感染によるものに大別されます。

角膜障害

ドライアイなどによる軽度の黒目の傷や角膜ヘルペスなどの感染症も疑われます。瞳孔領といって、角膜の真ん中に病気がでると光が通りにくくなり視力が下がります。

眼圧上昇(目の硬さが硬い

急性緑内障発作などの緊急を要する疾患の場合があります。

目全体の炎症や感染

ベーチェット病などに代表されるぶどう膜炎や、非常に稀ですが細菌やウイルス、原虫・線虫(トキソプラズマやトキソカラ)などの感染もあります。 ぶどう膜炎とは、虹彩(こうさい)、毛様体(もうようたい)、脈絡膜(みゃくらくまく)と呼ばれる部分とそのまわりに起きる炎症のことです。

まぶたの腫れ

強いアレルギーに伴う場合(アレルギー性結膜炎または強くこすった場合)か、麦粒腫などのまぶた自体の炎症によるものが考えられます。

痛み

痛みは目の表面の痛み、まぶたの痛み、奥の痛み(深部痛)、全体の痛みに分けられます。(といってもはっきり区別できない場合が多いです。)

目の表面の痛み

角膜びらん

しみるような痛み

黒目(角膜)表面に傷がついている場合があります。一般に角膜炎と呼び、傷の深さで表層角膜炎、角膜びらん、角膜潰瘍に分かれます。

まつ毛が目に触っている

まつ毛が黒目に触っている場合、痛みを感じます。まつ毛の生える方向が問題の場合(睫毛乱生)とまぶたの形が問題の場合(眼瞼内反)に分かれます。

めやには出ずに、充血のみ

強膜炎または上強膜炎といって、白目を作る膜の炎症が疑われます。白目の充血がありますが、結膜炎とはちがいまぶしくなったり涙がでることもあります。

まばたきすると痛い

目にごみが入っている場合が疑われます。結膜異物といって、白目やまぶたの裏側に異物がついている場合と、鉄粉などが黒目に刺さっている場合があります。

表層角膜炎

傷=角膜炎

結膜異物(上まぶたの裏側です)

鉄粉

まぶたの痛み

乳頭増殖

麦粒腫

かゆみを伴ったり、ある季節に毎年起こる場合

まぶたの裏側の炎症で花粉症によるアレルギー性結膜炎、その重症型の巨大乳頭結膜炎、春季カタルがあります。まぶたの裏に乳頭というつぶつぶができます。

めやにがたくさん出て、充血が強い場合

流行性角結膜炎(いわゆるはやり目)やヘルペス角膜炎を代表とするウイルス感染や、細菌性の角・結膜炎などが疑われます。

まぶたが赤く腫れていたり、しこりが触れる場合

麦粒腫(いわゆるものもらい)などのまぶたの炎症が考えられます。

深部痛、目全体の痛み

目の奥が痛い

代表的な病気に球後視神経炎という神経の炎症があります。眼球の後ろ側に 炎症が起きるもので、視力が低下することが多いです。しかし、目の奥はすぐ脳なので頭痛が目の痛みに感じられることが以外と多いです。単に頭痛の場合は視力は低下しません。

視力低下と、充血を伴う

視力低下を伴う場合は緊急を要する場合が多いので迷わず眼科を受診してください。緑内障の急性発作、ぶどう膜炎、眼内炎などが疑われます。

緑内障の急性発作
急激に目の硬さが硬くなり(眼圧上昇)、充血や痛み、見にくさを感じます。慢性的な緑内障とは、ちがい緊急に治療をしないと視力が戻らない可能性があります。
ぶどう膜炎
ぶどう膜(目を作る膜)の炎症です。かすみ目や充血、見にくさを感じることがあります。原田病やベーチェット病、サルコイドーシスといった病気や原因不明でも起こります。原因の精査と炎症を抑える治療を行います。程度によっては点滴や飲み薬が必要になることもあります。
眼内炎
通常は手術の後に起こります。直後に起こる場合と少し時間が経ってから起こる場合とがありますが、いずれにしてもすぐに治療を開始しないと感染により失明する危険があります。目の中は通常無菌状態ですので、菌に対する免疫力はほぼ無いに等しいです。ですので、いったん菌が目の中に入るとあっというまに増殖してしまいます。点滴などの強い治療が必要になります。

かゆみ

かゆみの原因はアレルギーによるものと流行性角結膜炎などの炎症の一つの症状によるものに分けられると思います。

「アレルギー」とは、ある特定の物質に対して、過敏に体が反応することをいい、 原因となる物質を「アレルゲン」と呼んでいます。反応自体は体を守るために必要な免疫機能ですが、強く出すぎることが問題です。若い方は敏感なためアレルギーが出やすい傾向があります。

アレルギーについて

症状の出かたで3つに分類します
急に出てきた場合

目薬や飲み薬、塗り薬などのお薬による薬剤性のアレルギーが疑われます。コンタクトレンズの消毒液や保存液、目を洗う洗眼液でもなります。かゆみが出た場合はすぐに止めることが大切です。

ある季節にかゆい

花粉によるものや春季カタルが疑われます。花粉症があるとアレルギー性結膜炎になり、目のかゆみや充血がでます。通常花粉が飛ばなくなると症状は軽快します(コラムへ)。春季カタルは学童期から思春期の方がかかりやすい重症のアレルギー性結膜炎です。強いかゆみと、黒目に傷が出たりしますので強めの治療が必要です。

いつもかゆい

ホコリやペットの毛、ハウスダスト、コンタクトレンズ(の汚れ)などのアレルギーやアトピー性皮膚炎の方のアレルギー性結膜炎が考えられます。アトピー性皮膚炎の方は、結膜炎だけでなく、白内障や網膜剥離を起こすことがありますので眼科での検査をおすすめします。