院長の小話

2011年04月20日No.56 花粉症とアレルギー性結膜炎

 雪解けとともに、春らしくなってきました。この時期になると問題になってくるのが、花粉症です。旭川は、スギの生育北限よりも北に位置しますので、スギ花粉症は起こりませんが、特有の花粉症がいくつかあります。

 今の時期に問題になるのは、シラカバ(シラカンバ)です。時期はほぼ雪解けから始まり、約1-2ヶ月間続きます。ちょうどゴールデンウィークあたりに調子の悪くなる方が増える傾向があります。花粉は、その年により飛散量に変化があります。今年の旭川のシラカバ花粉の飛散量の予想は、「多い」そうです。

実際の花粉の飛散の状態は、以下のページで確認することができます。

goo天気花粉情報旭川
北海道の花粉情報

 シラカバが落ち着くと、次は夏の季節に花粉が飛ぶイネ科の植物が問題になります。カモガヤなどが代表ですが、どこにでも生えている雑草で、酪農用の牧草なども当たります。

 では、秋はというと、9月初めから飛び始めるヨモギが代表です。他にも同じキク科のブタクサも有名です。

春:シラカバ、ハンノキ
夏:イネ科の植物、カモガヤ
秋:ヨモギ、ブタクサ
(あくまでも最も多いものです)

春:シラカバ

夏:カモガヤ

秋:ヨモギ


花粉症の症状
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乳頭:まぶたの裏側のブツブツです

 花粉症は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみが症状としては最も多いです。目の症状として、かゆみが最も多く、充血や、さらさらした目やに、ゴロゴロとする異物感も起こります。さらに、コンタクトレンズをしている方は、レンズをはずした後にとてもかゆくなったり、レンズが上にずれる症状も起こります。

アレルギー性結膜炎

 花粉症の時の目の状態はアレルギー性結膜炎という病気になっています。花粉症だけで、発症するものではなく、コンタクトレンズの汚れや刺激で発症することや、ハウスダストやほこりなどが原因で発症することもあります。体質が関係していることが多く、一度良くなっても繰り返すことが多く、長い付き合いになることもあります。

治療

 治療は、体質を完全に改善することはできませんので、可能な限り原因を除去することと、かゆみなどの症状を抑えることが大切です。具体的に説明したいと思います。

 まず、原因の除去ですが、原因となっている物質(アレルゲンと呼びます)に近づかないことです。花粉が舞っている季節では、外に出ないことが究極的な解決方法ですが、それでは生活ができませんので、外出を控えることや、マスクをすること、帽子をかぶるなど、花粉の影響を最小にすることが大切です。コンタクトレンズが原因の場合は、最も効果的なのは、コンタクトレンズをしないことです。そうもいかない場合は、1日使い捨てのレンズを使用して、レンズの汚れの問題を小さくすることが良いと思います。

 次に具体的な治療ですが、対症療法といって、症状を軽減することに目的があり、体質改善や花粉などのアレルゲンに強くなるための治療ではありませんので、注意が必要です。それは、目薬などで良くなっても(あるいは、問題となっている花粉が飛ばなくなって、花粉症が良くなったとしても)、次の年に同じ種類の花粉が飛ぶと、同じように発症する可能性があるということです。アレルギー性結膜炎に対する目薬は大きく分けて2種類があります。一つは、抗アレルギー薬と呼ばれているもので、ヒスタミンなどのかゆみや炎症の原因となる物質の放出を抑えたり、作用を抑える効果があります。特に目立った副作用もなく、最初に使うのに適した薬です。もう一つが、ステロイド剤です。炎症を強く抑える効果がありますが、眼圧が高くなる副作用や、感染しやすくなる悪い効果もありますので、使用には注意が必要です。もちろん、医師の診察のもと、きちんと経過を観察しながら使う分には、抗アレルギー薬だけでは、おさえられなかった強いかゆみを抑えることができるなど、良い効果が期待できます。あとは、花粉がとても多い時期や、ほこりの多い場所で作業した後などは、人工涙液の目薬をさすことで、異物を洗い流すのも効果的だと思います。

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ステロイド剤

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抗アレルギー薬


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