院長の小話

2011年10月20日no.62 結膜炎について(その1)「結膜炎の原因による分類」

 眼科で最も多い病気と言っても良い「結膜炎(けつまくえん)」について今回から7回にわたって書こうと思います。

結膜炎について
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 そもそも「結膜」とは何でしょう?簡単にいうと白目の表面とまぶたの裏側です。それぞれ、眼球結膜と眼瞼結膜といいます(厳密にはさらに円蓋部結膜という眼球結膜と眼瞼結膜の移行する部分もあります)。眼球の表面とまぶたの裏側を覆っている膜と考えてもらうと良いと思います。働きとしては、涙のムチンという成分を分泌してる杯細胞があることとや、リンパ組織があり一部の感染に対して機能しているといわれております。

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 結膜炎とは、字のごとく、結膜の炎症です。感染などのさまざまな理由により結膜に炎症が起こり、充血や眼脂(めやに)などの症状が起こります。

結膜炎の原因による分類

大きく分けると3つに分かれます。

1.細菌性

 細菌による結膜炎はブドウ球菌などの強い菌が増殖するものだけではなく、体の免疫力が低下した際に表皮ブドウ球菌などの弱い菌が原因となるものもあります。常在菌といって常に結膜に存在している菌も時には悪さをして結膜炎が起こります。このような免疫力が低下して、通常なら問題にならない弱い菌による感染を、一般に日和見(ひよりみ)感染といいます。
 細菌感染は年齢により原因菌が異なり、小児はインフルエンザ菌が多く、成人では黄色ブドウ球菌などが多いといわれております。
 特徴として、両眼ともに感染することが多く、黄色っぽくベトベトした眼脂が出ることが特徴です。
 厳密には細菌性感染症とは区別が必要なクラミジア感染症もあります。トラコーマという伝染性の感染症の原因菌です。

2.ウイルス性

 ウイルスで最も一般的な原因はアデノウイルスだと思います。いわゆる「はやりめ」の原因となるウイルスで、強い感染力を持っており、学校感染症にもなっており、感染すると出席停止となります。また、喉の痛みや発熱をともなうと咽頭結膜熱という病気になり、いわゆる「プール熱」と呼ばれております。結膜の充血にまぶたの腫れや眼脂が伴うと疑わしくなります。また、感染している人に接触したかどうかも診断の上で重要になります。
 他に似たような結膜炎で、急性出血性結膜炎という結膜下出血の見られる結膜炎もあり、原因はエンテロウイルスやコクサッキーウイルスというウイルスです。
 さらに水疱を作ることで一般的なヘルペスウイルスも結膜炎の原因になります。

3.アレルギー性

 アレルギー性結膜炎はアレルゲンという原因物質に強く反応し、かゆみや充血、まぶたの腫れや白目の水ぶくれ(浮腫)などの症状を引き起こします。いわゆる何かに「かぶれて」一時的ですが急激に症状が出るもの、花粉症の目の症状として出るもの、比較的長期にわたり症状が続く通年性のものなどがあります。

これらの代表的な結膜炎については、今後詳しく説明していく予定です。

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