院長の小話

2012年07月20日no.71 ドライアイについて(その2)「ドライアイの分類」

 前回の小話で、ドライアイの症状について説明しました。代表的な乾き以外に、色々な症状があります。今回は、ドライアイの分類について少し詳しく説明しようと思います。

ドライアイの分類
1.涙の量に問題あり

 ドライアイには一般的に2種類あるといわれております。一つ目は涙の量に問題があること。涙の作られる量が少ないことで目が乾く場合です。シェーグレン症候群という自己免疫疾患は、このタイプの代表です。

 ここで、涙について少し説明します。涙は上まぶたの裏側にある涙腺でその大部分が作られます。悲しくて泣いたりしなくても、常に目の表面が乾かないように涙が出続けております。これを基礎分泌と呼び、1分間に1-2マイクロリットルという極少量づつ作られております。表面に貯まっている涙の量は5-10マイクロリットルといわれておりますので、約5分ですべての涙が入れ替わる計算です。5分毎に新鮮な涙に入れ替わっていることからわかるように、目の表面は常に清潔に保たれております。よく点眼は1滴でよいですか?と聞かれますが、目の表面に貯まっている涙の量から1滴で十分です。点眼薬は1滴の量が調整されておりますので、2滴さしても、目からあふれてこぼれるだけで、無駄になります。

2.涙の質に問題あり

 二つ目のドライアイは、涙の質に問題がある場合です。目の表面に広がった涙が、目の表面を潤し続けることができるのは、蒸発しないように表面に油層があるからです。涙は極少量ですが、油分が混じっていて、この油分が涙の表面に広がり、蒸発を防ぐシートのような働きをしております。非常に重要な働きをしており、この油分が減ってしまうと、涙の蒸発が早くなり、涙が減ってしまい、ドライアイになります。

 点眼しすぎて逆に目が乾くのも、この涙の油分で説明ができます。目が乾かないためには、涙の油分が必要ですが、点眼液にはこの油分は含まれておりません。点眼液はほぼ水でできているため、点眼しすぎると、涙の水分がどんどん増えて、油分の割合が減ります。それは油分はまぶたのマイボーム腺というところで作られますが、作られる量が一定だからです。水分を補給しても、それにともなって多く作られないため、油分が足りなくなり、乾くということです。難しい言葉を使うと、相対的に油分が減少するということですね。

コンタクトレンズと乾き

 わかりやすいように涙の量と質に分けて説明しましたが、厳密には「涙の分泌低下」と「涙の蒸発上昇」という分け方ができます(アメリカのNEIによる分類)。蒸発上昇グループには、油層の減少だけではなく、目の表面の異常や、まぶたの異常、コンタクトレンズなどによる蒸発亢進も含まれます。

 コンタクトレンズをすると目が乾くのも、レンズにより涙の安定が悪くなり、涙が多く蒸発してしまうのが原因といわれております。またソフトコンタクトレンズは、レンズにも水分が含まれており、涙の水分と同じように、レンズの水分も蒸発します。蒸発した水分は涙を吸い上げてバランスを取りますので、涙が減って足りなくなり、乾くということになります。

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