2008年07月22日No.23 目によい食べ物、サプリメント その2(天然色素編)

前回の小話で目によいビタミンについてご紹介させていただきましたが、今回は、目によいといわれている色素について書いていこうと思います。その前に加齢黄斑変性という病気と活性酸素について説明します。
加齢黄斑変性
目の網膜という膜は、カメラのフィルムに当たる部分ですが、その中でも黄斑(おうはん)という部分で細かな情報を得ており、非常に重要な場所です。この部分に異常な老化現象が起こり、視機能が低下するのが加齢黄斑変性という病気で、アメリカでは失明の原因の第一位です。
この疾患の原因として、現在までにわかっていることは、喫煙、酸化ストレス(活性酸素)、紫外線や青色光線が原因の一つではないかといわれております。この病気に対して、色々なビタミンや天然色素(ルテインなど)が有効かという調査が行われており、予防効果があることが期待されています。
活性酸素
老化や疾患の原因として有力視されているのが「活性酸素」です。生命に必要な酸素ですが、一部は体内で「活性酸素」に変化して、体内で病原体と戦っていますが、その反面、過剰に発生すると細胞や組織を傷つけ、老化や疾患を引き起こすといわれています。
しかしながら・・・
加齢黄斑変性に対して活性酸素を除去する抗酸化サプリメントが有効かどうかの調査は行われていますが、一般的によい結果のものが多い印象ですが、残念ながら中には効果が期待できないとの結論に至っているものもあります。今後の研究が待たれます。
ルテイン

ほうれん草のごまあえです。

マリーゴールドから抽出されます。
ルテインは黄斑に多く存在し、有害な青色光から黄斑を守るフィルターの役割をしているといわれております。また、抗酸化作用といって、有害な活性酸素を除去する働きもあるといわれております。
ルテインは天然色素(カルテノイド)の一つで黄色です。カナリヤの羽毛の色素です。ほうれん草やブロッコリーに多く含まれております。また、花のマリーゴールドにも含まれており、サプリメントの原料になっております。
アントシアニン

目によいといえば、ブルーベリーです。

アヤムラサキ
ブルーベリーが目によいとよく言われておりますが、それはこのアントシアニンを含むからです。ポリフェノールの一つでフラボノイドという天然色素です。大豆のイソフラボンやお茶のカテキンやタンニンもこのフラボノイドです。天然色素という意味では先のルテインのカロテノイドと同じですが、一般的に色が淡いです。
アントシアニンは、網膜にあるるロドプシンという色素の再合成を促す働きがあります。また、活性酸素が作られるのを抑える効果も期待されております。
アントシアニンはブルーベリーやアヤムラサキというサツマイモに含まれている紫色の色素です。他にも赤ワインや黒豆、小豆、なすなどにも含まれております。
リコペン(リコピン)

真っ赤なトマトです。
リコペン(ドイツ語読みでリコピン)はトマトに多量に存在する色素で、ルテインの仲間のカルテノイドです。リコペンは強力な抗酸化作用が特徴で、βカロチンの2倍、ビタミンEの100倍といわれております。
目は光を取り込まなければならないため、常に紫外線や有害な光線にさらされております。オゾン層の破壊に伴い地表に到達する紫外線量は増加しておりますし、寿命の延長により長期暴露の蓄積による老化を考えなければいけません。一般的に紫外線はほとんどが角膜で吸収され、その後方にある水晶体(ここが濁ると白内障になります)や網膜には到達しないといわれておりますが、それでも2〜3%程度は到達します。ルテインもリコペンも紫外線やその他の理由によってできた活性酸素の働きを減らしてくれる効果が期待できます。
トマトはなぜ大量のリコペンを作り出すかというと、紫外線からDNAの損傷や細胞の酸化を防ぐためといわれております。それは優秀な種を残すために備わった機能です。燦燦と太陽を浴びて育ったトマトが赤々としているのはこのためです。
リコペンは皮膚癌の原因となる紫外線による皮膚のダメージを減らすことも期待されております。血中リコペンは年齢ともに減少するので50歳以上の人には効率のよい摂取が大切です。リコペンはトマトやスイカなどに含まれております。
アスタキサチン

ゆでた後のかにです。
魚やえび、かになどに含まれる色素(カロチノイド)で、もともと黒っぽい青灰色を呈する色素です。加熱により本来の赤色になり、かにやえびをゆでると赤くなるのはこの現象から来ています。
アスタキサチンの特徴はリコペンと同じ強力な抗酸化作用です。眼精疲労の改善やピント調節の改善に効果があるとの報告があります。動脈硬化の予防や皮膚の老化を防ぐ効果も期待できます。多く含まれる食べ物として、えび、かに、鮭、鯛、いくらなどがあります。
クロセチン

サフランの黄色でおなじみのパエリアです。

くちなしの花です。渡哲也ですね。
くちなしの果実から抽出される色素(カロチノイド)で、スペイン料理のパエリヤ(サフラン)や栗きんとんの黄色の元になっております。クロセチンは抗酸化作用と抗炎症作用があります。
最近の研究で、クロセチンの摂取でピントを合わせる調節機能が改善したという報告がありました。毛様体筋というピントを調節する筋肉の働きがよくなったことが推測されます。眼精疲労に効果が期待できる結果です。
2回にわたって、目によいと言われている食べ物について書いてきましたが、大切なことはやはりバランスの取れた食事だと思います。肉、魚、野菜、果物、偏らずに食べるのが大切ですね。
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